母の死(余談)

2021年9月26日日曜日

アラフィフ ゲイ ひきこもり 体験談

今回の主な登場人物も叔父(母の弟)とその妻(叔母)です。










母が亡くなり、早二ヶ月。

ここ最近の記事は、母の死にまつわる諸々を書いてきた。


弔事に出席したくないがために、叔父夫婦にすべてを任せたり。

なのに、その後の相続に関し、叔父夫婦のネコババを疑ってみたり。


実はその他にもいろいろと些末なことがあった。

些末すぎて、一つの記事にするまでもないこと。


今回は、そのあたりのことをまとめて書こうと思う。


※本記事では、母が入信していた宗教の話に触れます。私自身は無宗教ですが、いかなる人がいかなる信仰を持つことを否定する意思はありません。


容疑者


叔父と警察から母の死を知らされた夜


私は寝る前に、同居のパートナーに簡単な手紙を書いた。

直近の問題として、一つ気になっていたことがあったからだ。

彼は、私が訃報を受け取ったときには、すでに別の部屋で就寝していた。


手紙の内容とはこうだ。


”早朝にもし警察が来たら、玄関を開ける前に俺を起こしてほしい”


警察と話したとき、死因はこれから特定すると言っていた。

また、家はすべて施錠されており、室内は荒らされた形跡はなかったと。


それはつまり、事件の可能性が僅かにでもあるということ。


そして、私は自分の現状も正直に伝えている。


若いころ、親から逃げるように地元を離れたこと。

無職であること。

ひきこもり状態であること。


これらを世間一般が抱く方程式に代入すれば、分かりやすい解が導かれる。


”もしかしたら、息子が遺産目当てで母を手にかけたのかもしれない”


もちろん私はそんなことはしていない。


いよいよ経済的にひっ迫したら、普通に母に無心しただろう。

そうすれば、母は絶対にそれに応じてくれたはず。

私のことが一番大事なのだから。


それにうちのマンションは、いたるところに防犯カメラが付いている。

私がマンションを出ていないことは、録画映像を見れば一目瞭然のはずだ。


だが、マイナス思考がデフォルトの私は、最悪の事態を考えていた。


警察24時系のテレビ番組では、だいたい逮捕は早朝。

そのため、パートナーに手紙を書いたのである。


考えすぎなのは分かっている。

荒唐無稽なのも分かっている。


それでも私はそういう思考なのである。

もしかしたら、強迫性障害の一種かもしれない。


言うまでもなく、翌朝もその次も警察など来なかったのだが。


解約手続き


弔事や相続手続きと同時進行だったのが、各種解約手続き。

電気・水道・ガス、その他・・・。

母が結んでいた契約はすべて解約しなければならない。


ガス会社だけは、叔父が手続きをしてくれた。


ところが、実子でないと手続きできないという事業者があって。

それがきっかけとなり、叔父は手続きを放棄。

すべてが私に回ってくることになった。


まあ、それくらいは覚悟していたのだが。

これが予想以上に面倒で。


繰り返しになるが、私は母とは離れて暮らしていた。

連絡もしていなかったので、母がどのような暮らしをしていたか知らない。


当然、どこの事業者と契約していたのかなど分かるはずもない。


そこで、まずは叔父が母宅から回収した領収書等を確認してもらい。

そこに一つひとつ問い合わせる。


昔、コールセンターで働いていたものの、今は電話はあまり得意じゃない。


どう切り出して、どう説明して、と話す内容を事前に組み立てる。

何を確認しなければならないのか、メモに書いておく。


30年前のひきこもりのときは、一から十までセリフを書いていた。

それに比べればまだマシになったと言える。


ただ、問い合わせたところで、電話ですべてが終わるわけでもなく。

書面でなければ解約できず、後日書類を送るとか。

残りの料金の請求書を送るとか。


電気会社はブレーカーを落としておいてくれ。

水道会社は元栓を締めておいてくれ。


そのたびに、また叔父に電話して母宅に行ってもらうようお願いする。


水道の元栓が劣化して動かず、直す必要があったと叔父。

わざわざ金額まで聞かされる始末。


そうこうしているうちに、例の速達が届く


その書類を確認したところ、他にも解約が必要な案件がチラホラ発覚。

またまた一つひとつ叔父に確認し、そのあと事業所等に問い合わせる。


本当に面倒。


私がもし母の近くに住んでいれば、自分で全部確認できるのに。

でもそうなると、弔事には出席しなければならないし。


痛し痒し。

帯に短したすきに長し。

・・・分かんないけど。


とにかく。

ひきこもり気質にとってこういうことは、本当にストレスである。


宗教


母の弔事は火葬および先祖代々の墓への納骨をもって終了した。


一般的に、日本は仏式に則って供養をすると思う。

そうなると、位牌を作り、仏壇に置く。


しかし、私の家には仏壇がない。

そもそも仏教を信仰してもいない。


そこで叔父と話し合った結果、位牌は作らないということになった。


ところが。

数日経ったころ、叔父から電話が入った。


母が入信していた宗教の拠点に宗教具を返却しに行ったと。

そうしたら、位牌は必ず作らなければダメと言われたらしい。


「でさ、作ったんだよね」


得意の事後報告。

もちろん結構な料金が発生している。


実はその宗教、叔父も入信していた。

今回聞いた話では、数年前に脱退したとのことだったが。


すでに故人の母方の祖母が熱心な信者だったので、周りにも勧めていて。

祖父、母、叔父へと波及したのである。

その件はいずれ記事にしようと思っているが。


とにかくそれもあって、叔父は律儀にも宗教具を返しに行ったのである。

おそらく私だったら、放置して終わりにしたであろう。


物色


このあたりから次第に、叔父からの電話は金銭絡みの話ばかりになった。


「姉ちゃん(私の母)の家で貴金属を見つけたんだけど、どうする?」

「二階に古いお金がたくさんあったけど、どうする?」

「メイン銀行じゃない通帳を見つけたけど、どうする?」


そのたびに私はこう答える。

「送ってもらっても仕方ないので、面倒でなければそっちで換金して」


もちろん、叔父が最初から我が物にしたいことは明白である。

私の承諾を得て、公明正大にやりたいのだろう。


だったら、あの未支給年金の件はなんだったのか?


ちなみに、上記の通帳には一万円あまりの金額しか入っておらず。

わざわざそれを解約するための書面に印鑑が必要と、私に送ってきた。


叔父夫婦は母宅にあった金目の物を搔き集めている。

わざわざそのために、週一くらいの頻度で母宅に出向いているようなのだ。


最終的にはこう言ってきた。


「余った金をお墓とかの維持費に使わせてほしいんだ」


余った金とは、母を発見した警察が母宅から回収したものである。

弔事他に使ってもらったのだが、金額を聞くと結構残っている。


「もちろん、そうしてください」


私はそう答えた。



叔父は働いていたとき、一度ヘッドハンティングをされ、転職している。

そのときに給料は跳ね上がっているはずだし、出世もしたはず。

給料も退職金も十分にもらっていたと思う。


叔母もパートとはいえ、ずっと働いていた。


だから、それほどまで金に困っているはずはないのだが・・・。



だが、定年した叔父夫婦にも金は必要と分かる出来事があった。

一度、叔父と電話しているとき、背後にいる叔母を叔父がこう呼んだのだ。


「ばあちゃん! ばあちゃん!」


私はほんの少しだけ、息が詰まる気がした。


そう呼ぶということは、叔父夫婦に孫がいるからだ。

つまり、私のいとこの子供。


少なくとも、女のいとこは結婚しているはずなので、その子だろう。

もしかしたら男のいとこの方も家庭を築いているのかもしれない。


その事実を知らなかったこと。

ゲイの私にはない、ありふれた幸せな人生を突き付けられたこと。


それらが微かに、私を落ち込ませたのである。


孫がいれば、それは金が必要だろう。


私はそう納得することにした。


第一次相続完了


9月22日に母の口座の残金が私に相続された。


何度も書くが、雀の涙ほどの額である。

それでも何ヶ月かの生活の足しにはなるので、ありがたく受け取る。


ただ、相続手続きはこれで終わりではない。


母の住んでいた不動産がある。

叔父夫婦が勝手に出入りし、勝手に物色している家。


予定では、相続後に取り壊し、土地は売却する。

地方都市の、更に郊外の家なので、これまた金にはならないだろう。


ただただ、手続きが面倒なだけ。



ということで、些末な出来事たちでした。

これにて母の死を集中的に扱う記事は、ひとまず終わりにします。